VSセクシーな咳払いをする女
喉がイガイガしたとき、誰だって咳払いをすると思う。爽快感を求めて思いっきり咳払いする人、羞恥心から控えめに咳払いする人、色々いると思う。そんな中、私が中学生の頃だったんだけど、妙にセクシーな咳払いをする女がいた。
セクシーな咳払いってどんなんだよ、と思うかもしれない。このセクシーさが文字で伝え切れるか分からないけど、とりあえず擬音で書いてみようと思う。
ウンウンウン♡アン♡エン♡
殆ど喘いでいる。
同じ塾の人だったんだけど、授業中は静かなのに、テストになると途端にスイッチが入るのか咳払いを始める。
しかもしつこくエウンエウン♡言ってるわけだ。どんだけ喉がイガイガしてるんだ。そんな喘いでるから咳払いの本来の役割が果たせないんだぞ。とテスト中の私は気になって気になって発狂しそうだった。いや、もう気になっている時点で彼女の術中だったのかもしれない。
セクシーな咳払いをする人は、何故セクシーになってしまうんだろう?理由を考えてみた。
1.周りに魅力を振りまいている
2.可愛らしく咳払いをしようと思ったら喘いでるみたいになった
3.周りを撹乱している
順当に考えれば2番が正解かもしれないけど、私はあえて3番を推したい。実際に私は惑わされたからね。アウンエウン♡に集中力を削がれてテストへの戦意を失ってしまったからね。(勉強してなかっただけとも言う)
もーね、気にしなければいい、集中力が足りないと思う人もいるかもしれないけどね、エンアンウン♡って近くで喘いでる人前にして気にせずにいられます?試しにバイノーラルの耳舐めCD聴きながら読書してみてよ。何も頭に入ってこないと思うから。いや、私は耐えれるね!って人は前世は高僧か何かだと思うから、その集中力をこれからも生かしてください。私は元々集中力のない人間で、近所の音の外れた吹奏楽部の音でもムシャクシャしていたから。そんな集中力のない人間が、セクシー咳払いに耐えられるかって言ったら無理じゃない?
ていうか、なんで静かになった途端にセクシーになるんだよ。そんなんなら、賑やかな時でもセクシーでいいじゃん。年中無休でセクシーでいいじゃん。セクシーの大売り出ししたら買い手だっているはず。そうしたら段々耐性ができて、「あ、この人はセクシーな人なんだ」ってなるじゃん。中途半端に静かな時だけセクシーになるから戸惑って気が散るんだよ。誰のためのセクシーかってことなんだよね。男子のためのセクシーでしょ?私のような喪女にクリティカルヒットさせてどうするつもり!?こっちとしてはセクシーハラスメントなんだよね。男子の前で存分に喘げばいいじゃん!!!
もう、段々イライラが溜まって、黙らせてやろうと対抗心が湧いてくるわけですね。咳払いのウザさを身をもって知ってもらおうと私も咳払いで対抗です。俺のターン!咳払い!
そしたらね、咳払い仲間ができて嬉しかったのか、対抗心か分からないけどもうラブホ並みに喘ぐわけですよ。中学生の塾なのに。青少年保護法がしかめっ面でこっち見てるぞ!これは強めに灸を据えないとダメだな、と思ってこっちも恥も外聞も捨てて全力投球の咳払いをするわけ。
オ゛ンア゛ア゛ン
ウンアウンウン♡
う゛う゛んお゛ん
エンエンウン♡
止まらねえ。
男子もいる中、多感な思春期に女を捨ててまで全力の咳払いしてるのに止まらねえ。
もうなんなんだよ、咳払いの輪唱かよ。
完全なる私の敗北だった。かわいさとか、静かなテスト環境とか、何もかも失ったよね。いや、独り相撲とも言えるんだけど。
だから私はセクシーな咳払いをする人に怯えている。ちょっとでも可愛い顔をしていると、「コイツ、セクシーな咳払いをしないだろうな」という猜疑心が生まれる。セクシーな咳払いをする女、滅すべし。